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学長スピーチ

 

2024年度国際大学(IUJ)修了式

式辞  国際関係学教授   加藤 宏(橘川学長の代読・和訳)

本日、私たちは、国際大学(IUJ)の修士課程・博士課程を修了される2024年度修了生をお祝いするために集りました。国際関係学研究科から修士課程の学生105人、国際経営学研究科から修士課程の学生55人、そして国際関係学研究科から博士課程の学生1人を本日送り出せることを、喜びをもって報告させていただきます。

 

この緑に囲まれたキャンパスで日々、熱心に学問に励まれた修了生の皆さんと、それを支えたご家族の皆様に、心からお祝いの言葉を申し上げます。皆さんがご自身の成果を誇らしく思うように、私たちIUJ関係者一同もまた、皆さんの素晴らしい成果を誇らしく思っております。

 

大変残念なことに、本日修了される皆さんと一緒に学問に励まれたマリ出身のBallo, Bocar Dit Binke氏は、皆さんの門出を祝うことが叶いませんでした。勉強熱心なBallo氏は、本学の修士課程を修了されたあと、博士課程に再入学されて、研鑽の日々を送られていましたが、昨年12月、病気のため急逝されました。若くしてこの世を去った彼の無念を思うと、心が痛みます。残された我々は、彼の分までも精進を重ねてゆく所存です。

 

さて、今日、修了生の皆さんが巣立つIUJは、きわめてユニークな大学です。その特徴は、3点にまとめることができます。

 

第1は、「世界を学び、日本を学ぶ場」であることです。

 

大学院大学である国際大学の学生数は約400名です。このように少人数ではありますが、実におよそ70カ国・地域の学生が、世界中から集まっているのです。

 

日本には、たくさん、「国際」の名がつく大学があります。しかし、「真の国際性」という点では、我がIUJは、飛び抜けた存在です。本日の修了式にも、13カ国の大使・大使館員が参列されています。このような修了式を開催することができる大学は、他にありません。

 

IUJは、国内に現存する「グローバルな異空間」であり、文字通り、「世界を学び、日本を学ぶ場」となっています。基本的には全寮制をとり、英語だけを授業言語とすることによって、世界標準の国際関係学及び国際経営学に関する大学院教育を、深いレベルで受けることができます。教員だけでなく職員もまた英語が使いこなせることも、大きな特徴です。

 

第2は、「世界が協力する場」であることです。

 

IUJの学生の多くは、JICA(独立行政法人国際協力機構)、ADB(アジア開発銀行)、IMF(国際通貨基金)などの選抜を経て、国際大学に入学します。日本国内の企業から派遣された学生もいます。また、国内外から、充実した奨学金制度を活用して個人で入学した学生も、少なくありません。これらの人々が、24時間365日にわたって、新潟県南魚沼市にある浦佐キャンパスで勉学と生活をともにするのですから、濃密で多様性に富んだネットワークが必ず形成されます。つまり、IUJは、将来につながる「世界が協力する場」となっているのです。

 

第3は、「新潟・南魚沼に溶け込んだ大学」であることです。

 

この点は、まだ道半ばです。しかし、IUJは、「新潟・南魚沼に溶け込んだ大学」になる道を、一歩一歩着実に歩んでいます。

 

毎年、初夏に南魚沼市と共催で行う「インターナショナル・フェスティバル」は、市民と大学関係者が一緒になって世界各国の料理や歌・踊りなどを堪能する、ユニークな大学祭です。今年も大盛況で、食券を買うための長い行列ができました。

 

また、真冬のイベントである「IUJ Snow Festival」では、 学生とそのご家族、教職員だけでなく、地元の高校生などもお招きし、雪の滑り台で遊んだり、雪像づくりをしたり、スノーモービルにも興じます。私は、雪像コンペティションの審査員を承ったのですが、10項目ものチェックポイントがあって、採点に苦労しました。

 

さらに、ほぼ毎月、南魚沼市の事業創発拠点である「MUSUBI-BA」で開講している「IUJむすびばカレッジ」では、IUJの教員や在学生・修了生が、自身の研究分野やバックグラウンドから地域の皆さまの生活に関連する身近なトピックを取り上げて話題を提供し、和やかな雰囲気のなかで交流を行っています。私もエネルギー問題の話をさせていただきましたが、地元中学生の鋭い質問にたじろぎました。

 

そして、今年から始まった国際マーケティング調査会も、他に類例を見ないイベントです。世界中から集まったIUJの学生が、地元の名産品に舌鼓を打ちながらコメンテーターとなり、当該商品の国際展開に貢献しようというのです。

 

本日の修了式にも、たくさんの地元関係者の方々が参列されています。皆様の日頃のご協力に、心から感謝いたします。そして、会場の後方には、地元高校生の方々が、2024年度修了生の晴れ舞台を祝うために、集まられています。皆さん、「ありがとう」!

 

2024年度修了生の皆さん。皆さんは、本日、晴れやかで輝かしい日を迎えました。しかし、本番はこれからです。「世界を学び、日本を学ぶ場」で得た知識を武器に、「世界が協力する場」で作ったネットワークを活かして、それぞれの「地元に溶け込み」ながら、世界を良くする先頭に立ってください。今日よりも明日が大切です。

 

重ねてお祝いを申し上げるとともに、皆さんのご多幸をお祈り申し上げます。